スペース・モンキーズの映画メイヘム計画
まじめにふざける映画批評。基本的にネタバレ注意。
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モンスターズ/地球外生命体
モンスターズ/地球外生命体
★★★★★


人間のエゴとロマンチシズム


今度はいつ自分が襲われるかわからない状況にありつつも、ここでの生活があるから仕事があるからと街を離れられず、ガスマスクを常備してモンスター出現予報を気にしながらの共存を余儀なくされる人々。

この状況がまさに原発事故後の我々の生活とダブることにまず驚く。
それだけリアルだということだ。


この映画のスゴい所は、モンスターそのものではなく、人々の生活や背景を緻密に丹念に積み上げていくことで世界観を構築していく、低予算を逆手に取ったその演出スタイル。

そして、例えば、“いい写真”を撮るために子どもにガスマスクを被ることを要求するジャーナリスト。
米軍の爆撃による二次被害に怒りの声をあげる地元民達。
これら、内政干渉やテロ報復戦争などの現場で、現実に起こり得る描写を盛り込むことで、リアリティのある世界を造り上げている。
同時にそれらに対する批判もチクリと加える。


さらに、モンスターの生態が明らかになるに連れ、炙り出される人間のエゴ。
この生物達は街を襲っていたのではなく繁殖の為に上陸していた。
お互いに愛し合う姿は人間や他の地球上の生物となんら変わらない。

ラスト、これまで人間がモンスターの愛を引き裂いていたように人間達の愛もまた引き裂かれ得る、そう暗示しつつ、大きな余韻を残して映画は終わる。

『28日後…』がその後のゾンビ映画に影響を与えたように、本作もまた今後のモンスター映画の流れに影響を与えるだろう。
それ程にエポックメイキングな作品である。




テーマ:心に残る映画 - ジャンル:映画

ザ・ウォード/監禁病棟
ザ・ウォード/監禁病棟
★★★


ジョン・カーペンターのザ・ウォード


完全にネタバレしてるので注意!


観た人誰もが「アイ」で始まる映画と「エン」で始まる映画を思い浮かべるだろう。

だが、そこはカーペンター。ゴーストホラーの要素をプラス。
元の人格が別の人格達の共謀によって抹殺されそうになるも、幽霊のような姿で復讐を果たしていくという、恐ろしくも悲しい物語。

ゴーストホラーとして正しい図式になっているのが面白い。


ただ、元人格のアリスよりもクリステンの方が魅力的なのに、ストーリー上、アリスの人格を残すところに着地するのが、ややしっくり来ない。

また、女の子達のキャラクターがオタク受けを意識してそうな割に、カーペンターからはそれを魅力的に撮ろうというフェティッシュな姿勢が感じられないのがチグハグな印象を残す。
もっとニュートラルなキャラクターの方が差別化も出来て良かったかもしれない。


今作ではカーペンター自身は音楽を担当していないので、お馴染みの「ベンベン」は鳴り響かない。
その為、ちょっと物足りなさは残るが、全編に漂うアナログ感は紛れもなくカーペンター節。




テーマ:サスペンス映画 - ジャンル:映画

ブラック・スワン
ブラック・スワン
★★★★


オナッたりー・ポートマンとミラ・クンニす


主役へのプレッシャーと、母親の間違った子育てに対する反発から、幻視に悩まされる主人公のニナ。

心理的に追い詰められる様を見せる映像表現もさることながら、バレリーナの世界を見つめる視点が独特だ。

シューズを分解して手入れしたり、裏側にナイフで傷をつけたりの細部に至る描写。
優雅に泳いでいる白鳥も水面下では一生懸命に水を掻いていることを思い出させるような、肉体を駆使する様子や足音を強調したバレエ演出。

『レスラー』でプロレスラーの生態を赤裸々に描いたアロノフスキー節がここでも炸裂している。

さらに、「ダイビング」からの「死の暗示」という『レスラー』と同じ幕切れに鳥肌が立つ。


この作品は、言うなれば、アロノフスキーの「(死ぬ気で)はたらくひとたち」シリーズだ。
その点で『レスラー』の姉妹編と言える。

ただ、シナリオが一本道のため、ひたすら力技で幻覚映像を見せられても、途中で飽きてしまうのも事実。




テーマ:サスペンス映画 - ジャンル:映画

ランナウェイズ
ランナウェイズ
★★★


ランナウェイズからランナウェイ


オープニングの初潮シーンから濃厚な内容を予感させる。
しかし、インディー臭い雰囲気映像を多用した薄味のドラマに、やや肩透かし。

本気でロックをやりたいジョーン・ジェットと、今の生活から抜け出したいがやりたいことの定まらないシャーリー、そして問題だらけのその家族と、面白くなりそうな要素は揃っているのだが・・・。
シャーリーが、周りへの迷惑を顧みないただの気紛れ娘に見えてしまうのが勿体ない。


とは言え、寄せ集めバンドが次第に形になっていく過程は面白い。
プロデューサーが仕掛けたいわゆる企画モノだが、産み落とされてから成長し、死んでいくまで、バンドはやっぱり生き物である。

バンドや音楽に興味のある人にはそういうシーンだけでも堪らないだろう。

女優達のロックミュージシャンなりきり演技も楽しい。
特にジョーン・ジェットを演じたクリステン・スチュワートはハマり役だ。




テーマ:映画感想 - ジャンル:映画

スカイライン-征服-
スカイライン-征服-



宇宙ペンデンス地区/SEIFUKU


『インディペンデンス・デイ』に『宇宙戦争』に『クローバーフィールド/HAKAISHA』に・・・。
とにかく“メジャーな”映画から“安易に”かいつまんだだけという印象しか残らない。
そして最後は『第9地区』になって『フェイス・オフ』な仕草で気付くという・・・、どこまでも失笑しか与えてくれない作品。

監督へのインタビューで「怪獣映画は好き?」の問いに、ゴジラなどのメジャーなワードしか返って来なかったことに、インタビュアーの高橋ヨシキ氏が「例えばティム・バートンのように本当に怪獣映画が好きな人はもっとマニアックな名前を挙げるし、もっとたくさん喋るのに。」と拍子抜けしていた。
この監督の受け答えが全てを表している。
映画を観ても、まさにそんな感じで拍子抜け。
引用するならタランティーノぐらいこだわり抜かないと。

女性達にせっかくキャミソールを着せてるのにエロスがないのも同様で、上辺だけで全く中身がないんだな。




テーマ:SF映画 - ジャンル:映画

八日目の蝉
八日目の蝉
★★★★


エンゼルたちのウォーズ


二人の女性の違いは、人と魂で向き合っているかどうかである。
エンゼルさんが希和子に語った言葉が真理だ。

実母は娘の心を理解しようとせず、自分を母親だと認めてもらえないことにヒステリックになるばかり。
娘が大学生になった現在も、当時のことを悔いるばかりで娘と向き合えていない。
この事件の原因を作った夫と別れるでもなくその後も普通に暮らしている辺り(つまり夫とも向き合えていない)、薫が実母に育てられていたとして、果たして幸せだったかどうかは疑問である。

実際、薫の心を形成している母親からの愛情は希和子の物だった。
自分が逮捕される瞬間も、薫の食事のことを気遣う希和子は人間として立派だ。


そしてもう一つ浮かび上がって来るのは、血の繋がった親子関係が絶対だという考え方に対する問題提起である。

警察に保護された薫は、あの瞬間から母親だと思っていた人から引き離され、二度と会うことは出来なくなったのだ。
この警察の対応を含め、子どもを血の繋がった母親の元に戻せば「めでたしめでたし」という考えは余りに短絡的。
子どものことを第一に考えるならきちんとしたケアが必要だ。


役者の演技も素晴らしいが、中でも小池栄子の挙動不審演技は特筆モノ。
こういう人、知り合いにいるよ。

余談だが、赤ちゃんに乳をあげる場面やラブシーン後の戯れで、不自然にオッパイを隠すところに邦画メジャー系映画の限界を見た気がする。




テーマ:日本映画 - ジャンル:映画

アンストッパブル
アンストッパブル
★★★


ミッション・アンストッパブル


いきなり本題からスパーンと出発進行。
余計な贅肉を削ぎ落としたタイトな展開にグイグイ引き込まれる。

『サブウェイ123 激突』ではイマひとつマッチしていなかったトニー・スコット節も、スピード感のみで突っ走るこの作品では冴え渡っている。


主人公二人はもちろんのこと、コニー・フーバー(ロザリオ・ドーソン)やワーナー(ケヴィン・コリガン)やネッド(リュー・テンプル)の男前なプロフェッショナルぶりに、たまらず発射オーライ。

フランク・バーンズ(デンゼル・ワシントン)と娘達とのうまくいってなさを、娘二人がフーターズで働いているカットで表すなど、必要最低限のドラマ体脂肪率にもホレボレ。


事故の原因が情けなさ過ぎて犠牲者が浮かばれないが、最後にオチが付いたので良しとしよう。




テーマ:アクション映画 - ジャンル:映画

2010年総括
2010年1月1日~12月31日公開映画★ベスト10★+α

タイトルクリックでそれぞれの批評へ(無い作品もあります)。


瞳の奥の秘密
1.瞳の奥の秘密
恋を引きずる主人公に感情移入度100%の猟奇犯罪系恋愛映画。
サッカー場での長回しがスリリング。


冷たい雨に撃て、約束の銃弾を
2.冷たい雨に撃て、約束の銃弾を
名シーンのみを繋ぎ合わせて出来たような傑作。
銃と男と男と飯と。


キック・アス
3.キック・アス



ぼくのエリ 200歳の少女
4.ぼくのエリ 200歳の少女
静かなる情熱、燃えたぎる冷血。
ラストのプールはホラー史上屈指の名シーン。


リトル・ランボーズ
5.リトル・ランボーズ
鬼才ガース・ジェニングスの手腕が光る。
子どもの世界ここにあり。


ヒックとドラゴン
6.ヒックとドラゴン
完璧なシナリオに完璧なビジュアル。
完璧な演出に感嘆のエンディング。


告白
7.告白
ガキとモンペに宣戦布告。
進軍ラッパが「どっかーーん!」


コララインとボタンの魔女
8.コララインとボタンの魔女
子どもに見せるとトラウマ必至。
モラハラ母の家族支配。


サバイバル・オブ・ザ・デッド
9.サバイバル・オブ・ザ・デッド
御大の新作はまさかの西部劇。
馬を駆るゾンビにシビレたね。


インビクタス/負けざる者たち
10.インビクタス/負けざる者たち
マンデラによる意識改革。
これは全管理職必見ムービーだ。





以下は、ベスト10入りを争った作品たち。


マイレージ、マイライフ
次点(順不同).マイレージ、マイライフ


インセプション
次点(順不同).インセプション


第9地区
次点(順不同).第9地区


マイ・ブラザー
次点(順不同).マイ・ブラザー


渇き
次点(順不同).渇き





そして最後に、期待の割にがっかりの、落差が大きかった作品3点。


ダブル・ミッション
がっかり1.ダブル・ミッション
ハリウッド進出30周年に泥を塗る最低作。
はっきり言って怒ってます。


クレイジーズ
がっかり2.クレイジーズ
テーマが全く描けていない。
そもそも恐怖が描けていない。


パラノーマル・アクティビティ
がっかり3.パラノーマル・アクティビティ
恐怖が全く描けていない。
ぼくらが怖くない理由。




テーマ:映画感想 - ジャンル:映画

悪魔を見た
悪魔を見た
★★★★


いいビョンホン、悪いビョンホン


怪物と戦う者は自らも怪物とならないように気を付けねばならない。
汝が深淵を覗き込むとき、深淵もまた汝を覗き込んでいるのだ。
ニーチェ「善悪の彼岸」より

監督自ら発言しているように、ニーチェのこの一節がテーマとなっている。


復讐されるチェ・ミンシクといえば、パク・チャヌク監督の『親切なクムジャさん』を思い出す。
あちらは塾の講師、こちらは塾の送迎バスの運転手。
なんだか、「あの人は今」みたいな設定でおかしい。

クムジャさんが被害者の遺族まで集めて完璧な復讐を遂げたのに対して、スヒョンは復讐の行動原理を見失い、犯人とのゲームに溺れていく。


スヒョンは容疑者として挙がった男達を順に痛め付けていく。
しかし、脅されたら自首するような最初のヤツらとは違い、ギョンチョルは真のサイコパスだ。
サイコパスは修羅場を好む。
復讐されることさえもゲームとして楽しむのだ。
相手と同じ土俵に立った時点で「勝ち」はない。

ギョンチョルが被害者の家族にまで手を出したことに反撃するべくギョンチョルの家族を巻き込んでみても、ヤツには全く効果はない。
自分がヤツと同じ次元にまで落ちぶれてしまったことによる虚しさが残るのみだ。


タクシーに偶然乗り合わせた強盗を巻き込んでの三つ巴や、押し掛け『ホステル』状態のシリアルキラー仲間の登場など、展開は予断を許さない。
だがそれ故に、散漫な印象が残るのも事実。

また時折、冗長なシーンや説明的過ぎる描写など、演出面で引っ掛かる部分がある。
映画には省略の美学というものがある。
下剤を奪うシーンがあれば、その後は見せなくてもわかるって・・・。




テーマ:韓国映画 - ジャンル:映画

ソーシャル・ネットワーク
ソーシャル・ネットワーク
★★★★★


ソーシャル(じゃない男が作った)ネットワーク


Facebook誕生に関わった若者達の情熱やスピード感を、その時代の空気も合わせて丸ごと切り取った、デビッド・フィンチャーの傑作。

他人とまともにコミュニケーションが取れず、別れた恋人への未練を絶ち切れないくせにギコチない接し方しか出来ない男が、Facebookという世界最大のSNSを作ったという皮肉。


ラスト、ショーンのドラッグパーティーを通報したのは誰か?
その真相はボカされているが、そこまでの流れと直前のやりとりから見て、マークだと考えるのが自然だろう。
Facebookの爆発的な広がりに対応でき、ビジネスとしても成功することができたのはショーンの力添えがあってこそなのは間違いないのだが、エドゥアルドを切り捨てる非情さには納得できていない。

ショーンに言われるまま名刺に「ビッチ!」と書いたが、マークはそんなキャラではない。
改めて名刺を見つめる複雑な表情には、ショーンのやり方に対する疑問や、エドゥアルドへの思い、自分自身との葛藤など様々な感情が見てとれる。

かつてマークが「学生時代の彼女のことを今も思い出すか」と尋ねた時、ショーンは「NO」と答えた。
あの瞬間に、こいつとは考え方が違うと悟ったのだろう。
あのやりとりに二人の違いが凝縮されていた。


マークはコミュニケーション下手なだけで、実はコミュニケーションを求めている。
別れた彼女の事や、親友の事を今も思っている。
Facebookは彼の様な人間にこそ必要なツールかもしれない。




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