スペース・モンキーズの映画メイヘム計画
まじめにふざける映画批評。基本的にネタバレ注意。
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カールじいさんの空飛ぶ家
カールじいさんの空飛ぶ家
★★★★★


爺の帰還


妻が死んでから家に閉じこもって、心も閉ざしてしまったじいさん。
過去の出来事や思い出に囚われて、ただの偏屈じいさんになっていた。
「家」というのがまさにその象徴であり、前向きに旅立ったように見えて、家から離れられないという表現が面白い。
指輪を捨てる旅に出たフロドのように、じいさんの旅は「家」を捨てる旅なのだ。

過去にしがみつくのではなく、未来を向かないと生きられない。それはいくら年を取っても変わらない。
目的地のパラダイスの滝に着いても、達成感どころか虚しさしか湧いてこない。
冒険ノートを開き、妻は未来を見ていたことを知る。

家具を捨て(でも思い出のソファは大事に置き)、家を捨てるという行動によって、初めて過去と決別できる。
鳥たちを助けるならそれらを捨てるしかないと、アドベンチャーの中で必然的にやらせるのが上手い。
普通の人なら、引っ越しや人生の節目なんかで荷物を整理したりするのがこの行為に当たるのだろうけど、このじいさんは家ごと引っ越しちゃったからね。

かつて憧れたヒーローが、同じく過去に囚われた悪役として登場する、この構成も見事。
マンツに立ち向かうのもじいさんにとっては通過儀礼のようなものだ。


気持ちの変化は体の変化にも表れている。
家に閉じこもっていた時は、階段を降りるのに昇降機を使い、郵便を取りに玄関先に出るのにも杖を突いていた。
目的を見い出すうちに次第に体が動くようになり、飛行船のハシゴをガシガシ昇ったり、最後には杖なんか要らなくなった。
このシーンがまた秀逸で、鳥たちに杖を遊び道具としてプレゼントするという、他者に心を開けるようになったことと、体力的に必要なくなったということ、精神面と肉体面、2つの変化が込められている。


重みのある物語を軽いタッチでエンターテインメントたっぷりに見せる。
ピクサーは一歩高みへ昇ったな、と感じさせる。

この先、何かに詰まって前に進めなくなった時とか、観返すことになりそうな、そんな大事にしたい作品。


余談。
ジブリの影響が強いと言われているが、タイトルまで『ハウルの動く城』みたいにしなくてもよかったのに。
『UP』でいいのでは?
それか今風に言えば『アガる』かな。




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