スペース・モンキーズの映画メイヘム計画
まじめにふざける映画批評。基本的にネタバレ注意。
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隣の家の少女
隣の家の少女
★★★★


苦痛を知っているか?


大人になったデイヴィッドの回想という構成や、1950年代という時代設定が、否が応にも『スタンド・バイ・ミー』を想起させる。
『スタンド・バイ・ミー』の原作者であるスティーヴン・キング自ら、ジャック・ケッチャムの小説『隣の家の少女』を「『スタンド・バイ・ミー』と表裏一体の作品である」と絶賛していたが、映画版でもその印象は引き継がれている。


少女に対する残酷な虐待行為ばかりが話題になる本作だが、決してそれが主題の作品ではない。
むしろ興味本意で観る者の心に、ガツンと衝撃を与える。
劇中でデイヴィッドの言う「苦痛」がまさにそれだ。


本作は、隣に住む少年デイヴィッドを主人公にすることで、青春時代のダークサイドを描いた傑作に仕上がっている。

自分の力ではどうしてもメグを助けることができなかったデイヴィッド。
そんな彼の痛み、苦しさ、切なさ、悔しさが、観る者の心に突き刺さる。

観終わってから冒頭のシーンを思い返すと、その意味に、さらにガツンと一発お見舞いされる。
目の前で倒れた人を、それが浮浪者であろうと、必死で助けようとするデイヴィッド。
メグを救うことの出来なかった彼は、そうすることで赦しを乞う。
しかし彼に安らぎが訪れることはないだろう。
一生、十字架を背負って生きていくのだ。

ルースがスーザンをいじめる為の口実として使った「見ていたのに止めなかった者も同罪だ」という言葉が皮肉だ。




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ショーシャンクの空に
ショーシャンクの空に
★★★★★


コーフィは別の刑務所


この作品の、他の脱獄モノと違う面白い所は、主人公のデュフレーンではなくレッドの視点で語られる所だ。
脱獄モノと言えば、脱獄者視点で計画がバレるかバレないかのスリルで見せる物が多いが、本作は観客をレッドの視点に置き、デュフレーンの鮮やかな手腕を客観的に見せることで驚かせる。
手品師の立場ではなく客の立場になるわけだ。

逃げるための穴を掘っているだろうことは早い内に察しがつくのだが、その遥か上をいく快挙をやってのける。
つまり、地質学に強いことを強調し、穴を掘っているだろうことを窺わせるのは、手品でいうミスディレクションだ。
そっちに気を取らせている内に、他の伏線を張っていく。
脱獄後の資金を蓄えていたのに加えて、刑務所の腐った体質を暴くというのが最高に気持ちいい。


10年ごとに繰り返されるレッドの仮釈放審査での受け答えや、リタ・ヘイワースからマリリン・モンロー、ラクエル・ウェルチへと移り変わるポスターなど、時間経過の描き方も面白い。


スティーヴン・キングの短編の中でも屈指の名作を、理想の形で映画化した作品だ。




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パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々
パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々
★★


スーパーゼウスVS魔君ポセイドス


現代のアメリカで神が人間との間に子供を作っているというのは、実際に昼メロみたいなギリシャ神話をうまくアレンジしていて面白い。

しかし、子供を作っておきながら出て行った、無責任な父親を肯定するような描き方、これには辟易。
そばに居なくてもいつも見守っているよ、という、自分に都合のいい論理で片付けようとするなんてチャンチャラおかしい。

それに対して、継父の扱いは酷い。
主人公の継父ゲイブは飲んだくれで確かにどうしようもないヤツだが、母親は息子の身を隠す為にそんなゲイブの酒臭さを利用しているという(突っ込みどころはあるが置いておいて)、いわばウィンウィンの関係だ。
それなのに、息子の受け入れ先が決まってゲイブが必要でなくなった途端に、彼を家から追い出し、さらに殺してしまう。
これはあまりにも身勝手な仕打ちだ。


物語としてはRPGの「おつかい」的。
あまりオリジナリティーのないビジュアルに、適当すぎる展開と、二流感は否めない。
神と人間のハーフ=デミゴッドという設定が面白いだけに残念だ。


ユマ・サーマンとロザリオ・ドーソンはステキでした。




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バッド・ルーテナント
バッド・ルーテナント
★★★★★


Who's Bad...


「悪徳警部補」というストレートなタイトル。
しかし、観終わった後で考えると、なんとも意味深だ。
最近は作品にも恵まれず、存在そのものがギャグになりつつあるニコラス・ケイジだが、演技派としての本来の姿を思い出させてくれる怪演を見せる。


警官という立場を利用して、とにかく悪事の限りを尽くす主人公。
押収したドラッグをくすねたり、ユスりにタカりとやりたい放題だが、ギリギリの所で運に恵まれて生き続ける。
「世の中って所詮こんなもんだよな」、とブラックに笑い飛ばす。

そして面白いのが同僚のスティーヴィー(ヴァル・キルマー)の存在。
主人公の昇進の決め手になる出来事があるとお約束のように登場して人の命を軽んじる、この男との対比によって、主人公が善人にさえ見えてしまう。
何が「悪」なのか?
その判断基準まで鈍ってしまいそうだ。
このブラックさは深い。


爬虫類を使ったりカメラや音楽に凝った、ラリったシーンの演出の面白さも特筆ものだ。
その中でも特に「魂が踊ってる」描写はスゴ過ぎて鳥肌が立った。




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恋するベーカリー
恋するベーカリー
★★★★


下ネタベーカリー


コトが終わった後にジェイク(アレック・ボールドウィン)がジェーン(メリル・ストリープ)の股間を触って「我が家だ」的なことを言ったり、ビデオチャットでジェイクの股間をどアップで写すドタバタがあったりと、全編下ネタのオンパレード。
若い妻の前ではクールに振る舞っているジェイクがジェーンといる時はくだらない小ボケオヤジになったり、ジェーンが女友達とのトークで下ネタ全開でハジけたり。
単に笑いを取る為だけでなく、男女の親密さや心の開き具合を表現している所がリアルなんだよな。

それなのに、『恋するベーカリー』というタイトルを始め、下ネタを完全に封印した日本のプロモーション展開は疑問。
『パイパニック』を『タイタニック』と偽ってはいけない。


こんなに下ネタ満載にも関わらず、ハートウォーミングなラブストーリーとしての完成度は高い。
ジェーンに想いを寄せるが、待つことしかできないアダム(スティーブ・マーティン)が切ない。

そんなスティーブ・マーティンを「なるほど、このためにキャスティングしたのか!」と納得させてくれるのが、パーティでハッパを吸ってハイになるシーン。
『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』の歯医者役を彷彿とさせるラリ演技を楽しめる(もちろん、もっと抑えめだけど)。
『ホリデイ』のジャック・ブラックといい、ナンシー・マイヤーズはコメディアンの使い方がうまい。




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インビクタス/負けざる者たち
インビクタス/負けざる者たち
★★★★


全管理職必見ムービー


大統領になったマンデラが見事な采配で国をひとつにまとめていく姿を丁寧に描く。

イーストウッドの演出は引き続き安定感抜群。
南アの歴史を知らなくても理解できるわかりやすさと、スポーツムービーとしての興奮を両立させている。
白人と黒人の置かれた状況を端的に見せるオープニングからして素晴らしい。
フィラデルフィアを舞台に人種差別を描いた『ミシシッピー・バーニング』を思い出した。


そしてなんと言っても凄いのは、マンデラのリーダーとしての能力の高さ!
人間としてデカ過ぎる。
大いに勉強になりました。

まずスポーツ、それも否が応にも愛国心が高まるワールドカップを利用する目の付け所。自国開催というのも好機だった。
主将から手始めにチーム全員の士気を上げ、白人のプライドを保ちつつ、自国のチームを嫌っていた黒人も応援したくなる環境を作るなど、挙げればきりがないくらい、矢継ぎ早に見事な手腕を発揮する。
これは世の中の全管理職必見ムービーだ。

そんなマンデラも、自分の娘とはうまくいってないというのが人間臭くてリアル。
リーダーシップとはまた別のアビリティーが必要なんです。


マンデラ采配によって黒人と白人の意識が変わっていく過程を、ボディーガード達の関係で見せるのも面白い。
みんなで一緒になってボール遊びに興じるシーンには思わず涙が出た。




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