スペース・モンキーズの映画メイヘム計画
まじめにふざける映画批評。基本的にネタバレ注意。
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13日の金曜日(2009)
13日の金曜日



ほのぼのレイク


『悪魔のいけにえ』のリメイク『テキサス・チェーンソー』を傑作に仕上げたマーカス・ニスペル監督が手掛けるということで大いに期待したのだが、監視員に見殺しにされたジェイソンのごとく、裏切られた感が強い。

周辺住民はジェイソンの存在はおろか殺人行為も知りながら、腫れ物に触らないように暮らしている、いわば共存状態にあるような印象を受けるのだが、林業を営んでいるらしい青年が殺されるシーンでその設定が揺らいでくる。
長年そこで暮らしているであろう人間が、自分からジェイソンに近付いたわけでもなく自宅兼仕事場に居る所を、なぜかこのタイミングで殺されている。
よそ者がクリスタルレイクにやって来てジェイソンの気が立っているとの解釈も出来るが、青年がジェイソンの姿を見ても彼とは認識していない点が釈然としない。
保安官も最初はわかっている風なのだが、通報されたら速攻で駆けつけてあっさり殺されるなど、つじつまの合わない描写がある。

ジェイソンがホイットニーを生かしておいた理由も不可解だ。
母親のペンダントを着けているからだと思っていると、ジェイソンがそのペンダントに気付くのは監禁後かなり時間が経ってからだ。
ジェイソンのキャラクターやそれを取り巻く設定が曖昧過ぎるのである。

被害者の遺品を集めるなど中途半端にレザーフェイスしている点もオリジナリティーに欠ける。


昔からのファンとしてはジェイソンの殺しのバリエーションにも期待するのだが、「こんなに面白いシチュエーションを用意しておきながら、なぜその殺し方なんだ!?」と憤りを感じる場面が多い。

地下アジトにPART2の被害者の物と思われる車椅子があったりと、ファンをニヤリとさせる要素があるにはあるが、ロブ・ゾンビ版『ハロウィン』の素晴らしいオマージュっぷりと比べると、取って付けた印象しか残らない。
オリジナルへの愛が感じられないのだ。
途中から主人公と行動を共にする女が、ミニスカートからジーパンに履き替えたのにもガッカリだぜ。


ファンのツボを突きまくった『フレディVSジェイソン』の監督ならばもっとうまく撮ってくれたのではないか、という気がしてならない。




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テーマ:ホラー - ジャンル:映画

セントアンナの奇跡
セントアンナの奇跡
★★★


千と杏奈の神懸り


黒人部隊の兵士を主人公に、人種差別への批判を込めた作品。
アメリカ本国や軍隊では差別を受ける彼らが、敵国であるイタリアの村で対等に受け入れられるのが皮肉だ。

劇中、大小様々な奇跡が起こるが、それらを引き寄せるのが、彫像とネックレスだ。
死と隣り合わせの兵士達は、それぞれにお守りを持っている。
トレインは彫像の首で、ヘクターは十字架のネックレスだった。
一度はバラバラになったその二つが引き合うように、40年の時を隔ててヘクターとアンジェロを再会させる。

事件を起こしたヘクターを担当するのが黒人弁護士というのも象徴的だ。
黒人兵に守られて生き延びたアンジェロが雇う弁護士として必然性があり、その弁護士が白人の裁判官をピシャリと黙らせるシーンに監督のメッセージが見えてくる。


それにしても、まさかジョン・レグイザモがこんな端役で出るわけないよなぁ、と思ったが、やっぱり本人だった。
彼がいなかったら奇跡は起きていなかったことを考えると、重要な役だったのかもしれない。




テーマ:映画感想 - ジャンル:映画

少年メリケンサック
少年メリケンサック
★★★


ナイフとどっちが強い?


パンクやバンド、音楽への愛が詰まっている。
そしていくつになってもガキみたいな不良中年のはしゃぎっぷり。

『レザボア・ドッグス』のマドンナ話を彷彿とさせるセックス・ピストルズについてのくだりがあるが、バンドの仕掛人がいたり、新しいベースが入ったりと、このバンド自体がピストルズみたいだ。
その他、「ギブソンとグレコぐらい違う」などの名言も連発。

アキオの台詞に「奇跡を起こす」とあるように、演奏がおぼつかなくなった彼らがどうやって立て直すのか、またはその状態のままいかに落とし前をつけるのか。それがこの物語のキモだと思っていたが、拍子抜けする程あっさりと、最後にはきちんと演奏出来るようになっていた。
説得力のある描写が欲しかったが、若い頃よりも滑舌のよくなったジミーのように、バンド活動そのものがリハビリになったのだと頭の中で補完しておこう。

全編がコントみたいなドタバタコメディなのでノレない人には厳しいかもしれない。
あと下ネタが苦手な人も。




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ボルト
ボルト
★★★


トゥルーマン、NYへ行く


映画『ボルト』は、ピクサーのチーフ・クリエイティブ・オフィサー(CCO)であるジョン・ラセターがディズニーのアニメーション部門のテコ入れを図るべく、自分の哲学の元に製作総指揮を執った最初の作品だ。

ここのところのディズニーはとち狂っていた。
アニメーション事業の低迷から、時代は3Dだ!もう2Dアニメは作らない!と勘違いな宣言をし、アニメーターを解雇。
もちろん低迷の理由はそんなことではなく、3Dアニメ部門では先行する他社に完全に水をあけられている。
もはやディズニーのブランド力では客は呼べなくなっている。

ディズニーの魂よ、もう一度!というわけで、皮肉にも、ピクサーのCCOであり買収元のディズニーのアニメ部門を任されたジョン・ラセターが建て直しを図っているのだ。
2D部門を復活させ、スタッフを呼び戻し、手描きアニメの製作も進めている。


さてこの作品、さすがにピクサーのクオリティには及ばないが、『チキン・リトル』など、近年のうんこ過ぎるディズニー作品に比べると、抜群の完成度だ。

日頃から、ストーリーストーリーと口酸っぱく言っているラセターだ。さすがにそこはしっかりしている。
キャラクターの造形も素晴らしく、ハトの動きひとつ取っても、観察眼の鋭さとディフォルメへの巧い落とし込みに感心させられる。どのグループも3匹でいるのも面白い。

ただ、貨物列車でのドタバタなど、その場だけで後に繋がらないシークエンスが多いのが残念。ここが、いまひとつ深みの無さを感じさせる要因だろう。
1つのシーンには2つ以上の意味が必要である。

それにしても、冒頭の劇中劇のパーフェクトさには感動した。
出来が良すぎて涙が出てしまうことってあるんだな。
数多のアクション映画は見習うように。




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サマーウォーズ
サマーウォーズ
★★★★


となりのマトリックス


お婆ちゃんが電話や対面で行うアナログな方法から、PCや携帯でネットを介して行うものへとコミュニケーションの形は変わりつつあるが、その根底にあるものは不変である。
つまり、端末の端には「人」がいて、その「心」はどんな形でも繋がり得るのだと、その肯定が大きなテーマだ。

同時にネットに全てを預けることの怖さを描いており、公共機関や政府までもがひとつのシステム上で管理されることなど有り得ないのだが、そこはディフォルメされた部分として、日常の混乱を描く手法としては効果的だ。

ここまで言葉で書いてみると、当たり前で、今さら感があるのだが、見事なストーリーテリングで見せられると、そんなことは全く気にならないのである。

肝心のOZのデザインが「六本木ヒルズのプロモ映像ですか!?」ってぐらい、村上隆過ぎたのは残念だが。
ラブマシーンはカオナシみたいになっていくし、ネット世界の表現に、もっとオリジナリティが欲しかった。


荒唐無稽な展開にも、家柄の良い大家族という設定を大いに活かし、説得力を持たせている。
発電用にイカ釣り漁船を運んで来たり、簡単にスーパーコンピュータを調達したりするのも、いちいち筋が通っていて笑える。
キャラの立っている人から陰の薄い人までグラデーション的に存在するのも大家族ならではで、設定・キャラクター・ストーリーのどこにも無駄のない三位一体っぷりが凄い。
高校野球の進行状況とネットでの対戦をリンクさせたり、様々なエピソードや伏線が絡み合い、収束する様が、とても気持ちいい。




テーマ:サマーウォーズ - ジャンル:映画

ノウイング
ノウイング
★★


「イヤだ」と言い続けるという意味ではないらしい


ワンカットの長回しで見せる飛行機事故のシーンは見所だ。
予告編で見飽きたシーンだと思っていると、墜落した後も、燃える残骸や乗客達の中をさまよう主人公を、延々とカットを割らずに追って行く。
恐らく『トゥモロー・ワールド』や『LOST』の影響を受けているだろうと思われるが、人が死ぬことを知っていながらどうすることもできない主人公の絶望感を表現するのに、抜群の効果を上げている。


ストーリーはエゼキエル書をモチーフにしたキリスト教色の濃いものだ。
というか、濃いどころかそのものだ。
エゼキエル書は、UFOや宇宙人との遭遇を描いているという説があり、それをそのまま映像にしたのが、この映画のクライマックスだ。
これをトンデモ映画と切り捨てるのは少し乱暴すぎる。




テーマ:映画感想 - ジャンル:映画

ブラッディ・バレンタイン 3D
ブラッディ・バレンタイン 3D
★★★★


仕返しは一ヶ月後に


スコップを水平に突き立てて口の部分で頭部を切断。グイっと力を加え完全に切り離された時に、スコップに乗った頭がズルリと手前に滑ってくる。
描写の細やかさにのっけから大興奮。
他にもこの作品の殺人シーンはバラエティ豊かで楽しめる。

3D作品ということでツルハシや肉片がこちらに向かって飛んでくるのだが、そんなわざとらしい演出をしなくとも、心臓を抜き取られた死体の胸郭の立体感や、炭坑の閉塞感などからも、その効果を十分に感じることができる。

また、脚本が意外な程しっかり練られており、ストーリーだけで最後まで引っ張っていく力がある。
途中、主人公のトムと殺人鬼が向き合って鏡映しのような動作を取る描写があり、妙に引っ掛かるのだが、ラストできちんと納得がいくようになっている。
そんな、丁寧な伏線の張り方も見事である。

もはやリメイク作品に必須となった、オリジナルへのオマージュもバッチリだ。

しかし残念なことに、アメリカ版が101分なのに対して日本版は95分と、6分も短い。
モーテルでの、裸の女性と小さいおばさんの殺害シーンがカットされているようだ。




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